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それなりに長さのある文章置場兼描いたもの置き場。 よそ様のお子さんをお借りすることもあります。その時は親御さんの名前を明記いたします。
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まとめだけど、かなり文章量多め。年表というよりSS?






誕生~
平均的な家庭の長男として生を授かる。以後、4人の妹ができる。
面倒見が良く、構いたがりの性格。家の手伝いをよくし、朗らかで責任感が強い。
仕事の都合上、家を空けがちな両親に代わり、妹たちの母親代わりを担っていた。
家事万能でとくに料理が得意。妹のリクエストに応えて、女子力がメキメキ上がる。
と、同時に壊れた家電や機械の修理もお茶の子さいさいで、父親代わりもこなしてみせた。
ハイスペック小器用小学生。


12歳~
優秀な人材が集まる機械工学の専門学校に推薦で進学。
家族にとってもとても名誉なことだったため、期待に応えようと意気込んでいた。
しかし、才気溢れる友人の研究や話に触れるたびに、自分との差異に少しずつ違和感と居心地の悪さを感じ始める。
好きだと思っていた、得意だと思っていた機械いじりも本当は違ったんじゃないか。
自分に向いてるのはもっと別のことで、ここは自分の居るべき場所ではないのでは?
それでも表向きは心配をかけまいと、悟られぬよう誰の前でも平気な振りを貫いた。
一般教養も含まれていた入学当初は成績も上位だったが、研究などの専門学が増えてくると次第にランクを落としていった。
だから努力した。必死に勉強をした。復習も予習も抜かりなく。けれども教科書以外のことができない。才能の差が埋まらない。
嫌になる。できない自分も、機械も。
がむしゃらになる。もっともっと。
自分の努力が足りないからだ。悪いのは自分だ。どうしてもっと頑張れない?どうして結果が出せない?もっともっと。もっとできるだろう?学校のことだって、家のことだって。妹たちも父さんも母さんも僕を頼りにしている。普段どおりにいつもと同じに振る舞え。こんなことで悩んでるなんて知られちゃダメだ。胸が苦しい気がするのは気のせい。そんな考えがちらつくのは僕がダメだからだ。僕が至らないからだ。
もっと頑張らなくちゃ。
でもどうしてだ。教科書を開くと頭痛がする。工具に触れると手が震える。
気付いたら成績は下から数えるほうがよっぽど早くなっていた。先生と最後に話したのはいつだろう。

ある日、担当の教授に学年で最も優秀なクラスメイトの研究発表の代打を頼まれた。こんなふうに白羽の矢が立つのは通常ならまず有り得ない。
教授曰く、「君が日頃から努力しているのは知っている。」
正直なところ、自分には荷が重すぎると感じていた。しかし、やっと掴んだチャンスだ。自分を信じてくれた先生のためにも期待に応えねば。
「あまり気を負わなくていい」緊張する自分にそう声をかけて落ち着かせてくれた。
序盤はまだ良かった。しかし質疑応答が始まると場の空気ががらりと変わった。
問われる内容内容すべて、言葉に詰まって何一つまともに答えられないのだ。ザワザワ。困惑する声が飛び交う。羞恥心で消えたくなった。
すると、今まで横で聞いていた教授がマイクを手に取り、こう言った。
「彼は本来このような場に立つ人間ではないのです。不慣れゆえ、笑って見逃してやってください。」
ならば仕方ないと納得するかのように、不穏な空気に包まれた会場がどこからともなくクスクス笑いにすり変わる。
立ち尽くす自分に、教授はなんてことのないように言う。
「私はね、始めから君には期待していないから」
ぷつりと糸が切れた。もう立てない。
僕は今まで一体、なにを守ってきたんだろう。


↑の裏事情
この学校を抱える研究所は将来的に使える優秀な技師がほしかった。
丸め込むのに苦労しない家庭に育ち、従順で真面目な子どもが望ましい。
課題についてこられない出来の悪い者には薬を投与し、能力を強制的に上げた。
(薬にかかる費用は学校側が負担。副作用はほとんどなく、一部の者が中毒症状に犯されるだけ。世間的にさほど危険視されてないから、許容する家庭がほとんど。)
が、モア家はこれを受け入れなかった。
マロウはこのことを知らず、自分が不出来なのは自分のせいだと思いこみ、努力を続けた。
親も親で、息子の態度と言葉(気丈に振る舞っていたので精神的に相当滅入っていたのを知らない)を信じてやめさせなかった。
息子が心臓発作で病院送りになって初めて事の深刻さに気付き、急いで退学届を出した。


14歳~
学校を中退し、療養も兼ねて一時的に祖父のもとへ。
祖父は機械の便利屋をしていた。年に数度会うか会わないか程度であまり懇意にはしていなかった。
物静かで愛想に欠ける人で、祖父と会話をすればマロウが話を振るのが大概だった。
やりたいことが見つかるまで、祖父の仕事を手伝うことに。
祖父の家には、祖父がまだ生まれる前から傍で身の回りの世話をする執事アンドロイドがいた。
居候を始めたばかりの頃は、彼に就いて彼の指示通りに仕事をするよう言いつけられた。
アンドロイドの下に就くなんて、と少々不服ではあったが、すぐに彼のヒト柄に惹かれた。
造り物だけれど、彼にはココロがあった。
プログラム通りに動いているはずだが、かれこれ数十年の長い時を生きてきた彼には、それ以上の何かが温かく有機的に作用しているように思えた。僕たち人と何が違うのだろう、と。

しばらく機械を修理したり開発したりといった仕事は任されなかった。
お得意さんの挨拶回りや依頼の請負など、接客がほとんど。驚いたことに、人と関わる仕事の大半を担当していたのは祖父ではなく執事アンドロイドのほうだった。
とはいえ、無口な祖父と饒舌なアンドロイド、どちらが接客向きか…考えるまでもないのだが。
「あの子、昔からシャイですからねぇ。初めて話す人の前ではどもっちゃうんですよねぇ。かわいいトコロもあるでショウ?」
「ふふ、うん、かわいい!」
「あぁ?何か言ったか?」
「おじーちゃんがかわいいって話!ね?」
「ネー」
「こンのお喋りロボット野郎!」
見た目はまるで逆なのに、あの祖父を子ども扱いするのだから面白くて仕方ない。マロウは二人のことが好きだった。
まあまあ便利屋業にも慣れてくると、祖父から信頼に足ると思われたのか、任される仕事の量がどっと増えた。容赦ない。
しかし、その忙しさは不思議と嫌ではなかった。学校に通っていた頃とは違い、必要とされているのを肌で感じる。それが心地よかった。

色々な人から話を聞いて、やりたいと思えることも定まってきた。
そんな折に、初めて機械の修理を任された。
随分唐突だと思ったが、あれだけ拒否反応を示していた体が嘘のように、工具がすんなりと手になじんだ。嫌悪感はない。むしろ、ずっとこの感覚を待ち望んでいたかのような、そんな高鳴りが胸の内に染み渡る。
やはり機械が好きだ。機械に触ることが好きだ。
たとえそれが自分の天職とは違うものでも。


15歳~
教育分野への進学を打診していると、先方から快い返事がもらえた。祖父との生活も残り数日。
その日もいつものように、執事アンドロイドと共に仕事をこなし帰路についていた。
青信号を渡っていると、横から信号無視した車が突っ込んできた。
寸でのところでアンドロイドに背中を押され、接触は免れた。
代わりにアンドロイドが激突。身体がバラバラに吹っ飛んでいる。
運転手は顔面蒼白だったが、マロウもアンドロイドもさして驚かなかった。彼らにとっては大事ではなかったからだ。
「あー、ダイジョウブですよ。コアが無事ならこの子が直してくれるので。ねえ?」
「彼の言う通りです。見た目ほど重傷ではないので」
祖父に診てもらうまでもないと判断した。その程度の損傷だった。
確かに、祖父との仕事を通して機械に対する劣等感のようなものは薄れていたけれど、天狗になっている自覚もなかった。
なのに、どうして、

ブツン。

それまでの他愛のない会話をもブッた切るように、何かが終わる音がした。

なのに、どうして、
慢心などしたのだろう。



1年間共にした祖父とアンドロイドとの生活は終わりを告げた。
70年以上共にあった祖父とアンドロイドの生活も、同時に終わりを告げた。
人となんら変わらない。そう表現した彼のメモリを全て、0に帰してしまったなら、自分は殺人の罪を犯したこととどう違うのだろうか。
たった1年だけを共にした孫と、山あり谷ありの70年の人生を隣で歩んできた彼と、祖父にとってどちらがより大切か。綺麗事を抜きにしたって明白で。
憎き敵が目の前にいるというのに、その感情をぶつけられない祖父の心境たるや。
すごすごと、両親と妹たちの待つマンションに逃げ帰った。
行くはずだった進学先にも最終確認の返事を送ることができず、結局お流れとなった。
自室代わりにしているラボに引きこもって一心不乱に没頭していたことといえば、彼の最期を忠実に再現した機械を直してはバラし、直してはバラしてまた直す。これを繰り返すことだった。

一週間を過ぎた頃、外に出る機会があった。
壊れた機械を持って泣いている小さな子どもを見かけた。
自分に何ができるものか。関わらないと決めてその場を去ろうとするも、やはりどうにも気になってしまう。
仕方なしに声をかけ、機械を見せてもらう。あのアンドロイドの彼の損傷の仕方とよく似ていた。迷いなく手が動いた。
「はい、これで元通り動くよ」
差し出すと、その子は双眸をキラキラと輝かせて言った。
「すごいね、ありがとう!おにいちゃん、きかいのおいしゃさんみたい!」
それはそれは嬉しそうに、愛おしげに機械を抱いていた。

理由なんて、それで十分じゃないか。
好きとか嫌いとか。向いてるとか、向いてないとか。一番になれるかどうかじゃなくて。
自分の仕事で誰かを救えるのなら、あまつさえ笑ってくれるというのなら、それ以上に何を望むのか。
これを、仕事にしたい。これが僕の仕事だ。

家に帰って、工具を持って、走った。
「おじーちゃん、見てほしいものがあるんだ」
もし、彼を弔う方法があるとするならば、これしか思いつかない。
直すのもバラすのも慣れた機械。祖父の前でバラして、直した。5分とかからなかった。
「今の僕なら、確実に直せる」
「…………ふっ、遅い。俺なら3分だ」
そう言って、祖父はくしゃりと頭を撫でた。
「あのさ、おじーちゃん。もう一度、機械を教えてほしい」


再び祖父のもとで機械を学び、ひたすら実地での経験を積んだ。
店を訪れる客からの依頼しか受けない。そんなアナログな集客法ながら、格安かつ腕のいい修理工の祖父は、実はその道では意外にも著名人で。
それなりに大きな仕事に携わることもあった。それがI.S.Hの誰かの目に止まったよう。


17歳~現在
機械技師としてI.S.Hに正式加入。
自分の限界を知りながらもちょっとずつ技術を上げ続け、できることを増やし中。
努力すれば報われると思っていた時期もあるが、ようはやり方だなと悟り、手も抜くようになった。また、仕事の鬱憤を趣味で晴らすように。
酸いも甘いも噛みしめてます。







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