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それなりに長さのある文章置場。 企画っ子とか自宅学生とか自宅っ子とか…とにかく入り乱れで妄想を書き散らかしてます。 よそ様のお子さんをお借りすることもあります。その時は親御さんの名前を明記いたします。
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お題に沿って文章を書こう!その2!

2.着せて。履かせて。

ねつ造妄想100%です…いつもすみません>< R15くらいかな?という感じです。

有理先生(@壱屋さん)
お子さんお借りしました!書かせていただきありがとうございます!













ピピピッ。
体温計が指し示す温度は38度9分。文句なしに「風邪です!」と胸を張れる数値である。
7度じゃちょっと高い平熱の人もいるが(ちなみに私の平熱は6度程度なので、7度あっても調子が悪いの部類に入る)、8度もあれば大抵の人は大事をとって休めと心配するだろう。

つまり!風邪だ!正真正銘!私は!病気だ!なんと!まあ!困った!!明日は引率予定の課外授業もあるのに!

んんん、我ながら妙に気分が高揚しているのを感じる。言ってしまえばテンションがおかしい。
それもこれも風邪のせいだ。

「これで分かったろ。今日は登校禁止。自宅謹慎。いいな?」

普段は私が面倒を見てあげないと靴下の場所も分からないくせに。おんぶに抱っこがどの口でほざくのか。
有ちゃんのクセに生意気だ。そんな言葉がすぐさま脳裏をよぎった。

「有ちゃんのクセに生意気」
「なんつった?」
「『有ちゃんのクセに生意気だ!』って言ったの!」

思ったことをろくに考えもせずに発してしまうのも病人の悪いところだ、と思う。まるで脳と口が直結しているかのよう。

「病人はすぐさまその口塞いで着替えて寝ろ」

片手で両頬を掴まれる。自然と唇がアヒルのように突き出てしまう。分かる、分かるぞ。今絶対変な顔になってる。

「フッ」

ほら、笑ったーーー!!!こらえようとしてこらえ切れなかったんでしょ!中途半端に笑いがこぼれちゃったから、鼻で笑ったようになったもん!私、今、地味に傷ついた!

私の頭は沸いていた。脳細胞は風邪菌に侵され、知能は幼児レベルにまで低下し、冷静な判断力など皆無であった。
だからあんなことを口走ったのだ。
知的で、理性的で、大人な、いつもの私であれば絶対に口にしないようなことを。

「じゃあ、有ちゃんが着替えさせてよ」

「なに馬鹿なこと言ってんだ。身体ダルいんだろ?いいから寝ろ」
有ちゃんは心底呆れたように深いため息をつくと、これ以上付き合ってられるかとでも言いたげに、自室に引っ込もうとする。後ろ姿からでも分かる。あくびをしたこと。あと、ポリポリと背中を掻いたこと。

彼の気持ちは分からなくもない。なんせ今の時刻は深夜2時。
熱にうなされ、少しでも楽になりたいとトイレへと這って行き、灯りをつけたところで、ついに力尽きた。便器を抱え込むようにして倒れる私に気づいた有ちゃんが抱き起こしてくれたのだ。血相を変えていたんじゃないかと思う。声が随分荒立っていたから。

とはいえ介抱なんて高が知れていた。
氷嚢の作り方どころか、熱冷まシートや風邪薬の在り処さえ分からない。
一言目には、「おい、大丈夫か」。二言目には、「どうしたらいい?」。この調子だ。遠のきそうになる意識でなんとか指示を出し、体温を測るところまでこぎつけ、冒頭に至る。

よって、彼は深夜に労働を強いられて究極に眠いし、私も汗ばんだ服を着たままなのである。

眠いのは知ってる。知っているが、そんな事情を病人が考慮するかと言えば、答えはノーである。知ったこっちゃあない。

「ヤダ。だからでしょ?私ダルいんだから有ちゃんが着替えさせてよ。無理。腕上がらないもん」
「だったら、俺の腰にしがみついてるのはどう説明するんでしょうねー?」
「着替えさせて」

正論が通じないのも病人の特徴の一つである。
私は離さなかった。それこそ病人にあるまじき力強さでもって、三十そこそこのおっさんを己の腕に閉じ込め続けたのである。

やがて頭上から、降参という声が降ってきた。執念でもぎ取ったこの勝利をもう少し喜べばいいものを、高熱が蝕む気だるさからなのか、私はただただ、有ちゃんの声の優しさにほっとしていた。よかった。怒ってない。

「それで、着替えはいつものTシャツと短パンでいいか?」

有ちゃんは私の前にしゃがんで向き直ってくれた。きちんと話を聞いてくれる。そんなスタイルだ。

「うん。そこのタンス。下から2番目。下着はその上。」
「タオルは?」
「それは洗面所に……って、体拭いてくれるの?」
「汗でベタついてるんだろ?ついでにな」

やだ、どうしよう。有ちゃんがいつになく優しい。こんなに気遣いができる子だったなんて…!やればできるじゃない!

「なんだその顔」
「感動して……」

涙ぐんでいたらしい。有ちゃんが訝しむように目を細めてこっちを見ている。
やがてまともに相手をするのも馬鹿らしいと判断したのか、衣類一式をベッドの淵に置き、私をひょいと抱き上げた。そのままベッドの中央に下ろされる。

「上からでいいな?はい、ばんざーい」
私のシャツの裾を掴むと、小さな子どもにするように両手を上げるよう促す。対する私も、今の精神年齢は幼児と大差ない。されるがままに万歳をした。

シャツを脱いでしまうと、次は膝丈のスウェットパンツ。とくに手こずることなくするりするりと脱がされ、あっという間に身に着けているのは下着だけとなる。
柔軟剤で常にふわふわの状態を保つバスタオル。それでぽふぽふと体の汗が吸収されてゆく。幾分かすっきりして、私も上機嫌になっていた。

「こんなもんかね。はいよ、それも着替えんだろ?」
そう、有ちゃんが指さすのは私のブラだ。
「俺は一旦向こう行ってるから替えたら呼べよ。まあ、呼ばなくてもいいだけどなぁ、自分で着てくれんだったら」

なんて、せっかく気分が良いのにつれないことを言うものだから、拗ねた私は意地悪をしたくなった。
「なんで出てくの?まだ着替え終わってないんだけど?ちゃんと全部脱がせてよ。」

「お前は馬鹿か。」
真顔で無慈悲な即答。
甘い。この程度、想定の範囲内だ。

「なによ、減るもんでもなし。私の裸なんて見慣れてるでしょう?あ、もしかして照れてるぅ?」
やだ有ちゃん、かーわーいーいー、とダメ押しをすれば、ちょっとやそっとの挑発では動じない彼もピクリと肩が反応した。

「病人のたわ言だと思って聞き逃してやってたが、さすがに調子に乗り過ぎだろ。なぁ?」

ベッドに身を乗り出した彼に肩を押される。ちょうど檻をつくるように押し倒される格好になった。
静かな怒りを限りなく薄く伸ばしたような、そんな無表情が目前に迫る。

「有ちゃん、顔恐い」
「悪ぃな、生まれつきだ」

そんな意味じゃないこと、分かってるくせに。

「お仕置きする?聞き分けのない悪い子だから」
腕を伸ばして彼の首に巻き付けた。返事はない。私は気にせずお喋りを続けた。
「ねえ、風邪を引いた時にたくさん汗掻くと早く治るって話、聞いたことある?あれってほんとかな?」
ほとんど風邪で喉をやられたせいなのだが、意図せず熱をはらんだ掠れた声になった。耳元で誘って、腕を引き寄せる。チュっと彼の首筋にキスをした。

ゴクリ。
唾を飲み込む音すら聞こえた気がした。喉仏が大きく上下する。

ああ、なんだか、おいしそう。
カプリと噛もうとして、しかしそれは続く彼の言葉でやんわりと阻止された。

「あ~~~……試してもいいけどな、明日が休みであれば、の話だ。」

そして前触れなく飛び込んできた眩しい光に、耐えきれず目を瞑った。

「おいこら若草先生、寝るんじゃない。よく見ろ。」

寝てないやい。まぶたを閉じただけだ。

トントン。彼が指で叩いていて示すのは、煌々と青く光るデジタル時計の、日付の部分。さらに言えば、金、と表示された曜日部分。

「金曜日。はい復唱」
「金曜日。」
「草臥先生は明日も出勤。はい復唱」
「草臥先生は明日も出勤。」
「オーケー、よくできました。」

グワシグワシと乱暴に頭を掻き混ぜられる。

皆まで言うな。有ちゃんが全部説明してくれた。
結論から言えばこうだ。つまり、病人のわがままは通らなかったわけである。


ではその後どうなったか。
実のところ、以後の記憶がない。おそらく糸が切れたように寝落ちたのだろう。
朝の澄んだ空気の中で目覚めると、真新しいTシャツと短パンに袖を通していたから、本当に有ちゃんが着せて、履かせてくれたのだと推測する。

ついでにあまり期待せずに、寝る前と同じであろう中身もチェックした。
えーと、確か水色の上下セットだった。

「ピンクと、ベージュ……」

ちぐはぐの下着。前後ろが逆じゃないだけ上出来か。
私は頬が緩むのを隠せずに、いそいそとタオルケットを被り直した。
さあ、早く治してしまおう!そして、愛しい恋人にこれでもかと熱い抱擁をお見舞いするのだ。







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