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それなりに長さのある文章置場。 企画っ子とか自宅学生とか自宅っ子とか…とにかく入り乱れで妄想を書き散らかしてます。 よそ様のお子さんをお借りすることもあります。その時は親御さんの名前を明記いたします。
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postmanさんからのお題その3!
「フィランソロピストに告ぐ」です^^

岬メインでDxFさん宅青さん、チアキさん宅黒面先生お借りしましたー!
クロ←ミサ前提で青さんとのやり取りがメイン。
モブキャラの女が出張ってますので、なんというかその、すみません…^0^;
岬寄り神視点。

あと本当にちょっとなのですが、千鳥ちゃんと澄ちゃんのお名前もちらっとお借りしました。




コポポ

上品な花柄の散るつるりとしたティーカップ。そこに飴色の紅茶が注がれる。
砂糖もミルクも加えない、いわゆるストレートティーを岬は好む。
今日は確かアールグレイと聞いたけれど、セイロンとどう違うのか未だに分からない。
分からないけれど、紅茶の匂いは心を落ち着かせるな、と思う。
だから毎朝、必ずティーカップ二杯分を口にしてから教室に向かう。

一体いつからこの習慣が身に着いたのだろう。
少なくとも入学したばかりの頃は違った。同じころに出会った彼なら知っているだろうか。
「ねえ」
「なんでしょうか、お嬢様」
青い制服を身にまとった若い執事は、仰々しくもにこやかに微笑んだ。
「あたしっていつから毎日紅茶をおかわりするようになったっけ?」

ああ、そういえば、と、言いながら気付いた。

「それは…申し訳御座いません。はっきりとは覚えておりませんで…」
「ああ、いいの!変なこと聞いてごめん」

彼は知っているではないか。『毎朝紅茶を二杯飲む』ということを。
そんな、他愛もない些細な事を彼は記憶している。
紅茶だけじゃない。
好きなテレビ番組も、目玉焼きには何をかけるのかも、彼は知っている。

それって、なんて有り難い気遣いだろう。何気ないことでも、記憶して、行動に移してくれる。
彼の優しさを、プロとしての品格を、当たり前だと享受しちゃいけない。
感謝、しなくちゃな。

「お嬢様、謝らないでください。でも、突然どうして…?」
「ううん、ほんとになんでもないの。ただふと気になって」
岬はばつが悪そうに眉を寄せて笑った。
椅子から立ち上がり、青から鞄を受け取る。

「お嬢様」
「ん?」
「あまり溜め込むのは体に毒ですよ?」
見ると、青はティーカップの載ったソーサーを銀盆に移すところだった。
ソーサーにはカップだけではない。搾り済みのレモンの輪切りも載っている。

参った。彼にはそんなことまで筒抜けなのだ。
紅茶に数滴、レモンを垂らす。
それがもう一つの、紅茶を飲むときのクセ。決まって胸がくさくさしている時だけの。

「ありがと。愚痴りたくなったら聞いてやってね」
「ええ、執事ですから。」

青は完璧な笑顔で答える。

 

ああ、これをフィランソロピストと言うのだ、

と、岬はパソコンの画面を前にして頷いた。



フィランソロピストに告ぐ

 

腐れている理由は自覚しているのだ。

つい三日前から、大学生が指導実習の一環でこの学院に来ている。
岬の所属する3年ドゥ組も、その中の一人が配属された。
将来の進路として教師も視野に入れていることもあって、実習生というのは興味深い存在であった。
そうでなくても是非とも仲良くなりたいと、快く拍手で迎えたのだが…、
この実習生がなかなかの曲者だったのだ。

性別は女。性格は奔放、自分勝手、その癖人のご機嫌とりに長け、調子がいい。
明るくて感じがいいな、なんてよくも第一印象を高く評価したものだ。


「ねえ、これ代ってくれない?」
そう声をかけられたあの時のことを思い出すと、今でも腹の虫がおさまらない。

なんでも、とある教師の前で落ち葉掃きを買って出たものの、
この後彼氏とデートがあることを思い出した。出来るだけ早く帰りたいから代わってくれないか?
要約するとつまりこうだ。

ならばその彼氏とやらに断りの電話を一本入れればいいだけのこと。
そう言い返して引き受ける気など毛頭なかった。
だがしかし、厄介なことにこの女、ずる賢さに加えて勘の良さも兼ね備えていたのだ。

「満欠先生のこと、好きなんでしょ?」
「…!!」
「わっかりやすいなぁ~」
実習生の女は心底おかしそうにケラケラと笑った。

岬は耳まで真っ赤になった。
図星だ。しかし言い当てられて恥ずかしくなったのだけではない。
会って間もないこんな女に自分の気持ちを見透かされたこと。
それがはらわたが煮えくり返るほど悔しいのだ。

「先生は知ってるの?」
「あ、もしかしてもう両想いとか?」
「え~それってありぃ?だって教師と生徒でしょぉ?禁断の恋ってやつじゃ~ん」
甲高い声がキーキーとやかましく頭上を行ったり来たりしていた。
まるで耳の周りを飛び回る羽虫だ。耳障りなことこの上ない。

殴ってやりたい拳をぎゅっと押さえつけて、代わりに女の手から乱暴にホウキを奪った。
「代わればいいんでしょう?」

実習生の女は猫だましを食らったように目をぱちくりさせた。
どすの利いた声音や目の色から、岬の怒りは一目瞭然だったろう。
それ以上の言及はせず、「じゃ、じゃあよろしく」と、
いささか気圧された様子でその場から立ち去って行った。


その日からだ。
岬がまだ片想いで気持ちを伝えていないことが判明すると、女はギラリと瞳を輝かせた。
まるで水を得た魚。何かにつけて「先生にバレてもいいの?好きなんでしょ?」と持ち出してくる。
うんざりした。
しかしそれだけならまだ我慢できる。ガールズトークの延長と思い込めば可愛いものだ。

許せないのが、自分だけならまだしも、先生にまでちょっかいを出すことだった。

最悪なことに、あの女が実習期間中、馬術部の副顧問に任じられたのだ。
神はどれだけ最低なシナリオを用意すれば気が済むのだろう。詰りたくもなる。

「まだ初心者で怖いから後ろに乗ってくれ」
「手を貸してくれ」
「先生待って」とその腕を掴む。
「話があるんです」と他の生徒との会話を遮断する。

「あなたには彼氏がいるんじゃなかったんですか」
そう責めれば、
「妬いてるの?」

ああ、埒が明かない。

 

「その日ね、ちーとスミにお茶に誘われたの。カリカリしてるの伝わってたんだろうなぁ」
はぁ、とため息をつくと、岬のティーカップにコポコポと紅茶が注がれた。

「そういうわけでしたか。私もなんとなく気付いていましたが」
「あー、やっぱり?」

青は岬が満欠先生に想いを寄せていることを知っている。
現にこんな風に、一度ならず相談に乗ってくれているのだ。

「殴ってやればいいのに」
「……は?」

品の良い調子で何かとんでもない単語が発せられた気がする。
岬は聞き間違いだと信じて、もう一度と促した。

「殴ってやれば良かったんですよ、そんな下種女の顔なんて」

どうやら聞き間違いではなかったらしい。
正真正銘、この爽やかな顔から、驚くほど爽やかな声で、恐ろしく汚い言葉がはじき出された。

「いやいや無理だから。そんなことしたら即刻退学だって」
目が笑っていないが冗談だ。そうだそうに違いない。
そう自分に言い聞かせて、岬は努めて冗談っぽく返す。

「でしたら私が代わりに」
「……えっと…」
「私がその女の顔面を殴りますよ」

ああ、違う。
言っている意味が分からなかったのではない。
岬は、動揺した。彼の徹底した執事ぶりに。

青はやはり笑っていなかった。

だから、ふと怖くなった。
もしこの男が自分の執事でなかったら。自分のために退学を免れぬような所業を犯すか?
おそらく答えはノーだろう。
しかし岬はその一方で、執事ではない青を想像できなかった。
まるでそこに彼のアイデンティティが集約されているかのように。

では、彼はなぜ自分のためにこんなにも心を尽くせるのか。
好きでもない、恩人でもない、こんな自分のために。


恋でも恩でもない。

そうそれは、フィランソロピー-慈善活動-に似ている。


岬は答えた。

「青がその服を着なくなったらお願いするかも」

 

 

 

++++++++++
補足しなきゃわかんねーんだよ!な雰囲気話になったので補足をば。
早い話が青くん幸せになってよ!!ってことでして…。
でも青くんって執事としてすごく大切に手厚く岬に接してくれてるんだろうなって。
それってなんでだろうなぁ…と考え、岬は慈善だと思っててもおかしくないだろうなぁと。
もしくは執事としての使命、みたいなそういう。
少なくとも赤くんのような恋慕じゃないわけだし。
青くんのそういうところが有り難くもあり、申し訳なくもあり。
だから、青くんに執事として縛られずに自分の幸せを見つけてほしい。
その願いを込めての最後の一言です。
執事辞めてもあたしのために殴り込みできるの?無理でしょ?
あなたのその拳はもっと大切な人のためにとっておいてよ。

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