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それなりに長さのある文章置場。 企画っ子とか自宅学生とか自宅っ子とか…とにかく入り乱れで妄想を書き散らかしてます。 よそ様のお子さんをお借りすることもあります。その時は親御さんの名前を明記いたします。
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真白野球部中心に夏祭り話!
を、したいと思い^^

とりあえずまずは導入編で弐くんと智衣に会話させてみました。
神視点のつもりなのに心理描写は弐くん寄りという…。うちの子じゃないってこれもう版権の二次創作状態です…。
個人的な希望でこの時点(今年(2年生)の8月)では、
弐くんは、智衣のことが好きになり始めててでも自覚なし。
智衣は、壱先輩大好き!
だったらいいなあと。

DxFさん宅弐くんお借りしてます。





「あ。山田」
呼ばれた自分の苗字に反応して振り返ると、そこにいるのは見慣れた顔。
「中村。そっちも今部活終わりか?」
『山田』と呼ばれた少年はその場に立ち止まり、目の前の少女に問いかける。

「うん。今日はチア部の活動も午前で終わりなの。野球部もでしょ?」
少女はどこか嬉しそうに顔をほころばせると、少年、山田弐のとなりまで歩み寄る。

暗黙の了解。
弐は、少女、中村智衣が自分に追いついたのが分かるとゆっくりと歩を進めた。

弐と智衣にとって、このように部活終わりに駅までの道のりを共にすることは少なくない。
普通、高校生の男女二人がとなり同士歩いていれば、『そういった関係』と受け取られることも少なくないだろう。
だが、この二人にはお互いそういった意識は全くなかった。
それというのも、二人の会話の主な話題が「自分たち以外の特定の第三者について」だからかもしれない。


智衣の問いに、弐は「詳しいな」と、ぽつりとこぼす。それはただの独り言にしかならないような小声。
もしこれが相手の少女に届いたとしても、ちょっとした嫌味として受け取られるだけだろう。
つまり聞こえていようがいまいがどちらでもいい。その程度のもの。

「え?なんて言った?」
案の定、横を歩く少女に自分のつぶやきは届いておらず。
弐はそれを分かっていたものの、たまにどうしようもなく鈍いこの同級生に対して頭痛を覚えることがある。
「なんでも」
言葉を投げやりに吐き出すと、智衣に向けていた視線をふいと正面に逸らした。


どうして中村は野球部の事情に詳しいのか。どうして今こいつは嬉しそうなのか。
弐には手に取るようにそのすべてが理解できた。

今自分のとなりにいる中村という同級生は、野球部に所属している『とある人物』に恋心を抱いている。
その『とある人物』というのが弐の一つ上の兄、『山田壱』だった。
その想いはただの憧れの範疇で止めることができず、
「もといた部活動を辞めてチア部に転部する」という思い切った行動へと導くほどで。
もともと引っ込み思案な彼女の性格からしてみれば、それは10年に一度あるかないかという決死の覚悟だった。
皮肉にも、その勇気は入れ違いという悲しい現実に直面することとなったのだが。
とにかく、そんな大好きな先輩の弟が偶然にも同じクラスの男子だったわけだから、智衣としてはなんとしてでも接点を作りたかったのだ。

今も彼女の『兄貴』への想いは変わらない。

智衣は、壱が受験を理由に野球部を辞めてからも、息抜きに野球部に顔を出していることは知っているし(弐が教えたのだが)、
「少しでも先輩の顔を見られるなら」と、自分の部活動と同じくらいに野球部のスケジュールを完璧に把握し、空いた時間を見つけては見学に来ている。


「今日、兄貴練習に来てたな」
「あ、うん!見たよー。しかもなんと今日は目が合ったのです!ふふふ」
言いながら智衣は嬉しそうに頬を染めて笑った。

智衣は壱の話をする時、決まってこんな風に幸せに溢れた顔をする。
弐から見れば、それはあきれるほどに「恋する女の子」で、その笑顔を見ているとほっと安堵する自分がいた。
「ああ、うまくいってるんだな」そう思えるからなのだろう。

弐が目を細めながら智衣の横顔を眺めていると、空を仰いでいた彼女が感慨深げに言葉を発した。
「もう8月かー。そういえばさ、もうすぐ夏祭りだよね?山田はどうするの?」
ふいに変わった話題に、弐は一瞬思考が停止する。やがてすぐに思い出したのは駅で見かけたポスターだった。
「10日だっけか。そういやあったな、そんなの。いや、考えてなかった」
「あー、やっぱりなー。まあ、野球部なら夏は甲子園しか頭にないか」
それは勝手な先入観だろう、と反論しようかとも思ったが、自分を顧みると確かに一番の優先事項は「野球」だ。

言い当てられて黙りこくっていると、智衣は「なら」とごくごく自然な流れで会話を進める。

「一緒に行かない?」

「………は…?」

この誘いに、弐はなぜだかどうしようもなく狼狽した。
そのうろたえようといったら、もしあれが顔に出ていたら死ぬ、と後に本気で思い詰めるほどで。
幸い、実際のところ普段からのポーカーフェイスと目の前の少女の鈍感さのおかげで問い詰められることはなかったのだが。
しかしそれ以前に、「狼狽していた時間が至極短かったから」、というのが最も大きな理由かもしれない。

「野球部の皆で行こうよ!私も友達誘うからさ。ほら、人数多いほうが楽しいじゃない?」
「………」

続く智衣の言葉に、なぜ自分がこんなにも肩を落としているのか弐には訳が分からなかった。
が、当然のように「二人きり」だと解釈した十数秒前の自分に、ただただどうしようもない自己嫌悪が募る。

「あ、ダメ、かな?山田ってもしかして人混み苦手とか?それとも他に用事ある…?」
再び黙り込んでしまった(しかも今度は落ち込んでいるように見える)弐に、智衣は不安げに声をかける。
「…いや、違う。大丈夫。用事ないし、たぶん行ける」
「そっか。良かったー!あ、野球部の皆に伝えておいてね。私もかすやんとか紺ちゃんとか声かけるから」
上機嫌に、お世辞にもうまいとは言えない鼻歌を口ずさみ始める智衣の背中を見ながら、
弐はぐるぐると迷走する自分の思考をなだめるのに必死だった。

相手は中村で、中村は兄貴のことが好きで、俺は中村の同級生でしかなくて。
しかもあの、鈍くておどおどしててそのくせ俺には態度がデカくて、声小さいくせにチア部なんか入ったりするバカで、
おまけに鼻歌もへたくそときた…

なのに、なんで『期待』なんてしたんだよ。


「夏祭りまであと6日だね」
智衣が後ろ歩きをしながら両手の指を6本立てる。
「にやにやしてっとこけんぞ。それに、6日じゃなくてあと7日、だ。」
「え!?あ、そうだ!あはは、楽しみだから1日すっ飛ばしちゃったよ」
そう言いながら、眉をハの字にへらへら笑う。


弐は智衣が正面に向き直ったのを確認すると、深くため息をついた。

だいたい、あいつの何に『期待』したってんだ。

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