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それなりに長さのある文章置場兼描いたもの置き場。 よそ様のお子さんをお借りすることもあります。その時は親御さんの名前を明記いたします。
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ここに置くべきかSNSに投稿すべきか悩んだのですが、SNSはあまりにも恥さらしだったのでこっちで細々とあげておきます。

ドレグラです。出会いとか日常とかいろいろすっ飛ばして告白話です。
310さんが告白はドレイクさんからしてくれるとおっしゃってくださったので、それを信じて勝手に妄想を膨らませた結果がこれです…。
さすが私。趣味は妄想なだけある。長い。
長いのですがどこで分けるべきか分からなかったのでそのまま。なのですごく長いと思いますが…。お暇なときにでも目を通してくださると光栄です^^
グラウカ視点で、神視点と一人称が入り乱れ、という読みにくい文体になってます。

というわけで、310さん宅★メガヤンマ♂のドレイクさんをすごくお借りしました!

それにしても私は登場人物が二人の小説しか書けないのな。

(追記)
これにも挿絵のようなものを入れてみました。
別になくてもいいような挿絵を描くってどうなんだろう(苦笑)





喫茶店。
店内は緩やかなジャズが流れ、天井には控えめな照明と、グラウカにはその用途が分からないファンが取り付けられている。
グラウカはそのぐるぐる回るファンをぼんやり見つめていたが、耐え切れずにとうとう視線を膝に落とした。

居心地の悪さは、次第に自分の中へと消極的な後ろ向きな思考を働かせて、心臓から肺へと広がっていく。
重苦しい空気を振り払いたくて声を絞り出そうとするのに、どんどんどんどん空気は淀んで肩に背中にずっしりとのしかかるから、声は喉元で押し潰される。
そうしてまた空気は重さを増して、声は一向に外へと出てはくれなくて…悪循環にめまいさえ覚えそう。

dgk1.jpg



 

声は出ない。
なら自分の体のどの部分なら言う事を聞いてくれるだろうか。
足は、動かない。居住まいを正すこともできないらしい。
首は、動かない。俯いたまま顔をあげられない。
腕は、動かない。ぴっと伸ばした状態、まるで棒きれのよう。
指は…動いた。
だからぎゅっと握った。それで初めて、手のひらがじんわりと湿り気を帯びていることを知った。

手のひらを握り込むと、まるでそこを動力としてエンジンがかかる機械のように、腕がピクピクと痙攣した。
エネルギーが手のひらを中心に体中に巡る感覚。
きっと今なら動けるのだと自覚した。

「………」

目の前に座っているこの人の名前を確認する。
『ドレイク』
大丈夫。咄嗟に記憶が飛んだりなんかしていない。

(なんでこいつがここにいるのか。)
(私が誘ったからだ。)

(どうして誘ったのか。)
(たまたま偶然そこですれ違って、立ち話ではなんだから茶でもどうだ、と誘った。)

(お前はその時どんな気持ちだったか。)
(別に他意はない。雲が空を覆っていたから、一雨来るかとも思った。)

(それでは今はどうだ?こいつはなにをしている?)
(黙りこくっている。)

(お前はそれをどう感じているのか。)
(…………)

自問自答を繰り返して、最後のそれに答えることができないことが、今の現状を作り出しているのだ、と悟った。
膝の上で震える拳が、叩きつけたくなるほど頼りない。

ドレイクの顔は、きっと心底つまらなさそうに時間の経過を待っているのだろう。
自分は俯いているし、顔を上げたところでドレイクは前髪が長いので見えやしない。

ああ、なんでこの人はここにいて、こんなところで茶など飲んでいるのか。
何も言わずにただ座っているくらいなら、こんな場所に居たくないのなら、
いっそ…

「出て行けよ」

「……グラウカ?」

dgk2.jpg



 

なぜか視界にあるのは自分の拳や膝ではなくて、蛍光ピンクの丸い瞳孔。
どうしてこの顔にこんな派手な色がはめ込まれているのだろう、とつくづくこの人には似合わない、と思う。

「グラウカ、今なんて?」

ドレイクの二言目のそれで、グラウカはようやっとまばたきを二回した。
彼が何かを言葉にしたことに気づき、どうして突然と逡巡し、一言目の前に自分が何かしただろうかと考え…

たどり着いて、ただでさえ大きな二つの目をさらに大きく見開いた。

違うのだ。違う。
こんな言葉、外に出すつもりなんて、あるはずがなかった。
その前の自問自答はきちんと自分の中で処理できていたではないか。

どうして。

ただ首を横に振ればいい。なかったことにしてしまえばいい。
本音などではなくて、ドレイクが何も話さないから退屈だと思ったのだと。
だから、『出て行け』などと…

「お前つまんねえんだろ!さっきから一言も口を利かない。嫌なら嫌って言やいいじゃねえか!」

(ああ、そうだ。すべて本音だ。)

自分は嘘を嫌う性分だ。だから意地を張っても、思ってもみないことは言わない。
それで相手との関係がこじれても構わないとさえ思っている。

「あんたはいっつもそうだ。人に頼まれたら、誘われたら断れないんだろ?私の誘いだって断ればいいのに。どうして!!」

頭に血が上っているのだろう。立ちくらみでもないのにクラクラした。
だからドレイクがその時どんな表情をしたかなんて窺う余裕はなく、伏せた顔の上を揺れる前髪だけが妙に印象に残った。

彼からどんな答えが返ってきても怖いと思った。
だからグラウカは耳をふさぐようにして席を立ち、足早に店を出て行った。
自分が注文したアールグレイティーのことが脳をちらついたが、財布から勘定を取り出す時間はドレイクに答えを与えるに十分だったから考えないことにした。

店を出ると空模様は灰一色。辺りは昼間なのにどこか薄暗く、ひんやりとした冷気が肌に心地よかった。
屋根のあるそこから一歩踏み出して、髪や肌にあたる感触と視界から見える細い線とで気付く。

「雨」

まるで霧のような、降っているのかいないのかはっきりとしないそれ。
道行く人を見ると傘を差している人もいればいない人もいて。
確かにこれくらいならば、自分だったら傘を差さず歩みも止めないだろう。

その雨はグラウカにとって好ましいものだった。
慰めるように彼女に降り注ぐ細かな雨粒は、高ぶって腫れ上がる熱をじんわりと冷ましてゆく。

それなのに、グラウカは責めるような縋るような目つきで上空を仰いだ。

(どうせならどしゃ降りがよかった。)

まとわりつくもの全て全て洗い流してしまう雨なら良かった。滝に打たれれば煩悩が消し飛ぶと聞いた。ああきっと、それはすごく効果があるのだろう。

今にも風に吹かれて消えてしまいそうな、弱々しく頼りない粒とも呼べない霧雨。
グラウカは走る気力も吸い取られ、とぼとぼと、ただひたすら機械的に足を動かしていた。

どうして彼はああやって何も言わずに黙りこくっていたのだろうか。
その理由は分かる。思い出すと辛くなるからそこには蓋をするけれど。
でも喫茶店に入ってすぐは自分の話を聞いていてくれたのだ。
たいてい自分が話して、彼はそれに相槌を打つだけだから、いつものことだと思って気に留めなかった。
話していたら、相槌がだんだんと遠くなっていった。
一人で話しているのが馬鹿みたいに思えて、ふと口を閉じたら誰も喋らなくなった。
もちろん周りの客はそれぞれの話に花を咲かせていたし、BGMだって流れ続けていた。
でも、その空間には明らかな『沈黙』があって。それを意識したら声が出なくなった。

はっきりと分かった気がする。
彼は、ドレイクは、心底気に入らないから自分の口調やら振る舞いやらを注意していたのだろう。
何度言っても聞かないから、注意したその分だけ愛想を尽かして、仕方なく付き合ってやっていたのだ。
思うにお人好しでまめな性分のようだから、私のことを放っておけなかったのだ。
好き好んで二人で出掛けたり、お茶をするなど、出来るなら避けたいのだろう。

(これからは気をつけよう)

と、たまに自分をいさめることを言ったかと思えば、それはしっかりと心の中で留まるのに。
どうして可愛くない言葉ばかりが口を突いて出てくるのだろうか。


「ごめんなさい。」


脳内で反芻するそれが耳に入ってきたものだから、グラウカは肩を震わして驚いた。
しかもそれは自分の声ではなかった。少し距離があって、なにより自分のそれよりずっと低い。

振り返ると、長い藍色の前髪。その人が右手に傘を持ってこちらに傾けている。
入るようにと促しているのは言葉にせずとも伝わった。

「どうして…」
グラウカは地面に縫い止められたかのように一歩も動かず立ち尽くして、かすれた声を絞り出す。

「グラウカが濡れるから。俺が誤解させるようなことをしたから。お店の人に傘を借りている間に遅くなってしまったから。女の子を泣かせてしまったかもしれなかったから。」

グラウカの目には、その目の前の男がどこか困っているように見えた。
彼の言葉をなんとか呑み込んで、理解しようと必死になる。

ああ、どこから問いただせばいい?
瞳を泳がせて、眉を寄せて、俯いて、また顔を上げて、グラウカは言葉を紡ぐ。

「泣いてない。」

「そうみたいですね。」

そこで会話が途切れてしまうから、今は泣いていないけれど、このままでは目の奥が熱くなって水なんてあっという間に頬を滑り落ちてしまうんじゃないかと思った。

「「誤解」」

声が重なって、ドレイクは眉をハの字にして笑った。けれどグラウカは衝撃を受けたように目を丸くし、直後悲しそうに顔を伏せた。
出かかった言葉も衝撃と一緒に忘れてしまった。
じっと待っていると、同時に同じ単語を発したドレイクが続きを口にする。

「誤解、なんです。グラウカに誘われたこと、嫌なわけがないんです。」

(何をこの期に及んで嘘をつくのか。)
グラウカは信じられないという意思をその視線に乗せる。

「信じて下さい。つまらなさそうに見えたなら、それはグラウカにそう見えただけです。俺はあの時間をつまらないなどと思ったことは一度もない。」

真剣な目で話すから、うっかり全て鵜呑みにしてしまいそう。
私を傷つけまいと、想っての嘘、だ。自分の都合のいいように解釈して、後悔するのは自分。だから騙されるんじゃない。
グラウカはドレイクから目を逸らして、堪えるように降ってくる言葉を受け止めた。

「じゃあなんで黙って…」

なんてことだ。蚊の鳴くような声ではないか。しかも水分を含んだ湿った声。
今にも泣き出しそうな、声。

「考え事をしていました。」

あっさりと言う。堂々と言う。
もはやグラウカは自分が悲しいのか悔しいのか辛いのか怖いのか、どんな顔をしているのか分からなかった。

「グラウカの話をろくに聞いていなかったこと、悪かったと思っています。いつもなら楽しみにしているのですが、今日は他のことに気がいってしまって…」

謝ったと思ったら言い訳を始めて、ついにはとうとう本音だ。私の話になど興味はない。はっきりとそう言った。

目を逸らしたまま、グラウカは一歩後退した。ドレイクが差し伸べる傘から完全にその体を離す。

「ごめん。飲み物の代金は今度渡すから。今日は一人で帰る。」
グラウカは感情の色のない低い声でそう言い切って、体を翻そうと左足を引いた。

「待って」

ドレイクに腕を掴まれる。グラウカは振りほどこうと強く引っ張ったが、びくともしない。
男女の力の差に愕然としていると、それが隙になり、グラウカは呆気なく傘の下に引き戻された。

「あれこれごちゃごちゃ言っても、きっとグラウカは嘘としてしか捉えてくれないのでしょうから、はっきりと言います。それに俺も考え事の内容を正直に告白するのは沽券に関わりかねないので。」

一息にそう告げるドレイク。グラウカは訳が分からずただ眉間に皺を寄せて様子を窺っていた。

傘がグラウカの上半身を覆うように傾けられる。

影になったその中で、低い声が鼓膜を揺らした。


「グラウカが好きだ。」


ピンク色の瞳と目が合った。
グラウカは一度目を瞑って、開いて、その色を確認した。

(ああ、この人に不似合いなピンク色の目だ。)

その特徴的な蛍光ピンクの瞳の持ち主を、この人以外に自分は知らない。
だからその人が自分の思うその人と同一人物だということは分かる。

ただ、おかしいのだ。
この人の口からそんな言葉、発せられるわけがない。
自分はもう初な少女ではないから、『好き』の意味を取り違えたりはしない。
だから、おかしい。

(ドレイクが、私を…)

そこでまず疑ったのが自分の耳だ。
そういえば雨が降っていたから、雨音にまぎれて声を聞き取れなかったのかもしれない。
(音もない霧雨のくせに何を言う。)
どうやら他人事のように客観できる自分もいるらしい。

一体どれだけの時間、自分は彼の顔を見上げたまま凍りついていたのだろう。


「嘘…だ」

やっと出てきたぎこちない言葉は、混乱をぐるぐると巻き付けて疑心だらけ。

「嘘じゃない。」

じゃあどうすればいいの?
嘘じゃないなら信じればいいの?

信じたら、どうなる?

自分は昔から武道が好きでその修練ばかりに打ち込んできたけれど、筋肉バカだと罵られるのが嫌で勉学も怠らなかった。
第一薬の調合にはそれなりに知識がいるのだ。感覚や才能でカバーできるものではない。
だから、だからだから、どちらかといえば聡い方だと、自惚れではなく自負している。

なのに脳みそが働いてくれない。
心ばかりが焦って悲鳴を上げている。

グラウカは下を向いて肩で息をしている。汗が額にじんわりと浮いている。

「グラウカ!?大丈夫ですか、体調がすぐれないんじゃ…」
心配したドレイクの手がグラウカの腕から離れた。

その一瞬の隙を見逃さず、グラウカはドンとドレイクの胸を強く押すと反対方向に走り出していた。

「グラウカ!!」

ドレイクの呼び声は、グラウカを引き止めるのではなく、彼女の両足をさらに急かした。

今はとにかく速く速く遠く遠くへ。

それだけだった。




+++++++++++++
グラウカさんが逃げたので続きも書きたいです。長丁場だなぁ。
でもドレグラはそう簡単に両想いめでたしめでたし~とはいかない気がして。

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